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兵どもが夢の跡

 陽ざしが春を感じさせるも、いまだ寒さの残る、平泉を訪れました。3月の末、例年暖かくなって行くはずの東北の地も、今年はきつい寒の戻りで、前日の雪が残り、まぶしい陽ざしに雪がちらついていました。
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 平泉は、奥州藤原氏がその栄華をほしいままにした所として有名です。平泉中尊寺は極楽浄土を現世にあらわした金色堂が有名で、藤原三代清衡、基衡、秀衡のミイラが納められていることで知られています。

 平泉の中尊寺と毛越寺、松島の瑞巌寺、山形の立石寺(山寺)は慈覚大師円仁が開基したお寺として知られています。これらのお寺を松尾芭蕉が巡拝したことは『奥の細道』にも記されています。

 「夏草や兵どもが夢の跡」この句は、悲運の義経主従を偲んで芭蕉が詠んだ句として有名ですが、この句が詠まれたのが毛越寺でした。中尊寺からは徒歩で15分くらい、JR平泉の駅からも徒歩10分くらいの距離にあります。現在、毛越寺は、当時の伽藍は消失し、塔山を背景にした典型的な浄土庭園の中心をなす大泉が池が往時を偲ばせるだけではありますが、その規模から如何に華麗な寺院であったか、容易に想像ができてしまいます。かつて、この池に龍頭鷁首の船を浮かべて、管絃の楽を奏したという話を聞くと、優雅な昔が思いやられます。

 大学在学時には、瑞巌寺や山寺は幾度となく訪れたことがありました、しかし、今回の中尊寺、毛越寺は初めて訪れたお寺でした。

 春浅き東北の、訪れる人も少ない時期にこれらの寺々を、ゆったりした時間の中で、自らの歩の音を聞きながら歩みを進めると、時間と空間が往時に戻る思いがするのは、私だけなのでしょうか。

 これで、芭蕉の四寺をめぐったことになります。次は、どこを尋ねようかと楽しい思いに心はせながら時間を過ごしています。




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