先生が「授業で取り上げるから読んでおくように」と指定したのが、谷崎潤一郎の「痴人の愛」だ。授業を受けるためだけなら指定されたページまで読めばよかったのだが、桃夏は物語が面白くて最後まで一気に読んだ。
女性を美しく描写する谷崎の作風に魅了される。谷崎作品の魅力を伝える三島先生の授業がまた面白くて、毎回、待ち遠しかった。三島先生の最後の授業の日には、先生への感謝の気持ちを手紙に書いて渡したほどだ。